秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
その人の顔を見て、私は「あっ」と声をあげた。

キリリとした男らしい顔立ちに清々しい笑顔、筋肉質で、でもしゅっと細く引き締まっていて、嫌味なく逞しい体つき。

私がひそかに憧れていた男性――兄の友人の眞木(まき)涼晴さんだ。

涼晴さんはすでに私に気づいてくれていたようで、「足の調子はどう?」と気遣ってくれた。

彼は近所にある須皇総合病院の整形外科医。この足を診察してくれたのも彼である。

昨夜、急に左足の甲が痛みだし、それを聞いた心配性の兄がパニックを起こした。

同じマンションのふたつ上の階に住んでいる友人、涼晴さんに助けを求めると、彼は遅い時間にもかかわらず飛んできてくれて、私の足を診察してくれた。

腫れの具合からして、骨折などの深刻な状態ではなく、軽く痛めただけだろうとのこと。

足を疲れさせるようなことをしなかった?と問われ、その日、ちょうど新しく買った高めのヒールのパンプスで長時間外を歩いていたことを思い出し、申し訳ない気持ちになった。

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