恋の心音
死神とは、生命の死を司るとされる伝説上の神で世界各地に類似した伝説が存在する。冥府においては魂の管理者とされている。

「死神」と検索すればこのような文章が現れ、次に世界中にある伝説や恐ろしい姿をしたイラストが出てくる。しかし、死神というものは伝説上の存在ではない。身近に実際にいるのだ。

閑静な住宅街に建つ一軒家、温かな雰囲気のある木造の家具が置かれたリビングで、ブラウンの髪を真ん中分けにし、アンバーの両眼をした西洋人が落ち着きなくリビングの中を行ったり来たりしている。彼の名前はレスリー。一見すると華やかな顔立ちをした青年だが、彼は死神である。

「レスリー、ちょっとは落ち着きなさいよ。あの子はちゃんと帰ってくるんだから」

落ち着きのないレスリーを見て、この家に住む奏(かなで)が呆れたように笑う。レスリーは「だって……」と頬を赤く染めた。

「一ヶ月も会えていなかったから、なんだか変な感じがして……」
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