帝王と私~Darkness~

【愛してるからこそ】

「フゥ…お腹いっぱい……!美味しかったぁ」
「よかった!」

また自然と手を繋ぎ、歩き出す。
「フ…」
「ん?どうした?」
「………」
「弥生…?」
弥生は泣いていた。

「どうして、泣くの?」
「こんな普通のデートするだけで、嬉しい…!
貴将さんとは、まだ出逢って半年くらいなのに、色々なことがあって、色々な辛くて苦しい思いをして、でも幸せで……」
「うん…ほんと、色々あったね……!
でも、これからまだまだ色々あるよ?きっと…」
「うん…覚悟はできてるって言ったでしょ?」

それからゆっくりあてもなく歩いて、部屋に戻った。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「や……だめ…また……飛び、そ……」
「弥生…好きだ……弥生…」
「まだ……愛し合、い…た…い……」
そう言って、弥生は自分の手首を噛む。
まだ、貴将を感じたい一心で━━━━━━

「弥生…?ダメ!俺がちゃんと……弥生を引き戻すから…」
その弥生の小さな手を掴み、噛み痕から滲む血を舐める貴将。
そして手を繋ぐ。
「だって…まだ…貴、将さん、と……愛し合い、たい……」
「弥生…おいで?」
弥生を組み敷いていた貴将が、弥生を起こし膝の上に跨がらせる。
「だめ……この体勢は……よけい、に…」
「大丈夫……飛んでも、何度も引き戻すから…!
俺の方が、まだまだ止まらない……!」

何度も、何度も、何度でも………
引き戻して、俺の狂おしい激情をぶつけるよ?
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