研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
次の日の朝一番の教授室。

「一気に具体的になったじゃない」

私の論文テーマ概要に目を通して、教授がふふんと笑う。

「これ昨日書いたの?」

そう聞かれて「はい」と答える。

「本当にこれがやりたいんだね?」

教授が最終確認をする。

「はい、やります」

私は言い切った。

「じゃあ、頑張ってみましょうか」
「ありがとうございます」

教授が頷く。

私は心新たに教授室を出た。


研究棟の出口に向かいながら、私は電話をかける。

「はい」

聞き慣れた声で理仁が出る。

「今日、これから、部屋行っていい?」

少し理仁が黙る。
そしてゆっくり、「いいよ」と言った。

私は大学からまっすぐ理仁の部屋へ向かった。


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