研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
理仁とバッチリ目が合う。

来たじゃん、本当に。

目で伝える。

本当に来るとは思わなかったんだよ。

理仁の視線が訴えている。

「林さん、ちょっといいですか」

準ミスが控えめな声で言う。

「あ、はい」

理仁がそう言ってやっと立ち上がった。

教授も、根本さんも、李さんも、ガルシアさんもみんなで行方を見守る。

研究室を引っ張ってきた若きエース・ミジンコ馬鹿がなぜ準ミスに呼ばれてるのだ。

教授が私に「だれ?」と目で尋ねてくる。
私は口パクで「ミスコン」「準ミス」と言った。

理仁が勝田エリーのところまで行くと、静かにドアは閉められた。

みんな息を止めていたのか、フーと息が漏れる。

「美人」

李さんが言う。

「She is miss-contest」

私はそう言ってから、彼女がコンテストなわけじゃないけど、と思った。
「準グランプリ」って何て言うんだろう。

「Waaaao」

ガルシアさんと李さんが目を見合わせる。

「林に広報のインタビューか、何か?」

教授が言ってきた。

「いや、完全プライベートなお誘いです」

そう答えると、教授も遅れて「ワーーオ」と日本語で言った。
同時に根本さんも目を見開く。

私一人、胸がザワザワする。

一体、二人で何の話をするんだろう。
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