研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
告白から2日経った日の夕方。

まだまだ論文の終わりが見えない。
今日も何時になるだろうか、と時計を気にする。

8時間もキーボード打って、全然進んでない。
まとまりのない稚拙な英語の文章に自分で納得できない。

「ねえねえ」

理仁に話しかける。
理仁がパソコンからこっちを見上げる。

「ここさ、自分で書いてて思ったんだけど、ニュアンス的になんか変じゃない?見て」

私は出力したプリントを理仁に渡す。

理仁は一瞥して時計を見た。

「これ、家で見るわ」
「え」

珍しい。
いつもすぐに見てくれるのに。

「俺、もう帰んないといけない、ごめん」

確かに少し急いでるような口調。

圧倒されるように「わかった」と答える。

「ごめん、ほんとごめん、明日」

そう言って私のプリントをバッグにしまう。

なんだろ。

そうこうしてるうちに、バタバタと片付けていく。

なんとなく胸がざわつく。

「すみません、お先します」

理仁は全体に軽くそう言って研究室を出て行く。

そして私は見てしまった。
彼が開けたそのドアの向こう、廊下の壁。
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