研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
「まあ、俺の知ってる女の人って、AIか、李さんか、環しかいないから、その中だと環かな、うん」

ん?
AI?李さん?

「ここまで大学に残ってくれた戦友っていうか、ミジンコ仲間っていうか、大切な存在だよ」

戦友、ミジンコ仲間。

違う、私が言った「好きな人」ってそういうんじゃない。

「俺たち、ドクター(博士)2人しか残らなかったけど、これからもよろしく」

そう言って可愛く笑う。
愛おしい、その笑顔。

だけど違う。

胸キュンしてる場合じゃなかった。
やっぱり、理仁の中で私はミジンコ仲間でしかないんだ。

理仁が私の顔を見てる。

「なんか違った?」

うん、全然違う。

「私も、私も同じこと思ってるよ」

外にパーッと天気雨。
雨の予報なんてなかった。

外に出てる研究室の人たち、大丈夫かな。

まるで天気雨みたいな告白。
嬉しいのと、虚しいのと、半々。

「理仁はうちの研究室のエースだから、これからもよろしく。私も好きだよ」
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