研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
理仁の方を見ると、目が合った。

「どうしよう」

声が震える。

「なんかあった?」

パソコンの画面に視線を向ける。
理仁も私のところまで来てパソコンを覗き込む。

「ケース4の実験、漏れてた」

私の言葉に、理仁が絶句する。

恐ろしいほどの静寂が訪れた。

心臓の脈がすごいわりに、全然息が吸い込めない。

「ほんとごめん」と言うことが精一杯。

すると、理仁が力強く肩に手を置いた。

「大丈夫、大丈夫だから」

そう言うと、すぐに棚からミジンコの卵とボトルを持ってきて手際良く準備し始める。

「今日セットして、持ち帰って、家でデータとれば間に合う」

理仁が力強い口調で言う。

「ごめん、本当にこうして足引っ張ってごめん」

頭を下げた。
理仁が振り向く。

「何言ってんの、チーム全員のミスだよ」

ハッキリとした口調。
理仁はいつも嘘がない。

そして続けた。

「俺が引き上げるって言ったじゃん」

まっすぐに私の瞳に届く視線。

私は頷くと、準備に取り掛かった。


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