身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない

 なんだかもう訳がわからずにとんちんかんなことを考えていると、芹沢課長の呆れたような声が返ってくる。

『あほ。お前が好きだって言ってんだよ』
『……え』

 芹沢課長が、私を好き……?

『じょ、冗談――』
『冗談でこんなこと言うか』

 冗談ですよね。震える声でそう確認しようとしたら、すぐに否定されてしまった。

 ついさっきまで上司としか思っていなかった人に突然キスをされ、好きだと言われて、もう何がなんだかさっぱりわからない。

 そのまま呆然としていると、芹沢課長の手が私の肩をポンと押した。

『――ごめん。ちょっともう限界』
『えっ』

 瞬間、私の視界がぐらりと揺れた。気が付くと、目の前には芹沢課長の顔と、その向こうには真っ白な天井が見える。どうやら私はベッドに押し倒されているらしい。

 覆い被さってきた芹沢課長の長い指が私の指にするりと絡まり、そのままベッドに押さえつけられてしまう。

『必ず俺のことを好きにさせてみせるから、今はお前に触れたい』
『えっ、あ、あの芹沢かちょ――』

 私の言葉は芹沢課長の唇によってあっという間に塞がれてしまった。

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