クールな完璧先輩は推し活女子を溺愛する
魅亜も自分がなぜ急にこんなにも悲しくなったのか、よくわからない。

ただ、響一郎には自分の好意がまったく届いていない、ということが無性に悔しかった。

「そ、それに……せ、先輩は、菅原先輩は……あ、あたしのことなんか……あたしのことなんか……」

「……」

「も、もう帰ります」

こんなに後から後から涙が溢れてきたら、とても勉強なんてできないよ……。

魅亜は立ち上がったまま、ごそごそと勉強道具を鞄に仕舞い始めた。

「鳥飼──」

「し、失礼します」

魅亜は響一郎が止めるのも聞かずにペコリと頭を下げると、校長室を出ていってしまう。

後に残された響一郎はただ茫然と、彼女の後ろ姿を見送るしかなかった。
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