内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
 大雅に着せられた服は、どれも着るだけで心が浮き立つような素敵なデザインと、高級な素材だったけれど、子持ちの母親としての普段の生活ではとても活躍しそうになかった。
「祐奈、ホテルのグレードが高すぎて、着てくる服に困るってこの前ぶつぶつ言ってたじゃないか。ここに来る時用だよ。べつに大和が汚したって構わないし、でも気になるなら、ここにいる間は大和はずっと俺が抱いててやる」
 ホテルに着てくる服がないと彼に愚痴を言ったのは、取る部屋のグレードを落としてほしかったからだ。
 たった数時間三人で会うためだけに大雅が毎回取る部屋が、スウィートだったから。
 普段使いにスウィートは……祐奈の感覚ではあり得ない。
 やっぱりこの人は天沢ホテルの御曹司なのだ、と祐奈は心の中でため息をつく。なんだか先が思いやられる気分だった。
 そんな祐奈をよそに大雅が手すりにもたれかかり、メインストリートにひしめき合うたくさんの人を眺めている。
 そして感慨深げに口を開いた。
「ここ、俺がはじめて手がけたホテルなんだ」
「え? ……そうなの?」
 少し意外な彼の話に、祐奈は耳を傾ける。
「うん。副社長になってすぐに。ここはショッピングモールやコンサートホールと一体型だから、うちでも珍しいタイプで、当時はかなり苦戦したよ。地元の反対にあったりしてさ。でもその分思い入れが強い場所なんだ。……祐奈と大和を連れて来れてよかった」
「地元の反対……?」
 祐奈は呟いた。
「そう。この辺りは学校が近いからさ、まぁ、その関係で。主に反対されてたのはショッピングモールとコンサートホールだったけど、ホテル(うち)としてもそれらの施設込みの話だったからさ。随分やきもきさせられたよ」
「……地元が反対しても、オープンにこぎつけることがあるのね……」
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