カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「そこ、足元気をつけて」
お店へと続く階段に差し掛かった時は手を差し出してくれるし。
歩道側を必ず歩かせてくれる。
他人の目があることに気付き、手を取ることは遠慮したけど、スマートかつ自然なエスコートに落ち着かなくなる。
と同時に今更ながら月城さんの隣に立っている自分がすごく不釣り合いな気がしてきた。
「今日は私でなく、もっと親しい方の方がよろしかったのではないですか?」
気が引けてしまい、足元を見るように少し俯いて答えを待つ。
「前から思っていたんだが」
返答があったので隣を歩く月城さんを横目で少し見上げると、月城さんは私を見下ろしていた。
「きみは自己評価が低いよな」
「そうでしょうか?」
低いと意識したことはないけど、言われてみれば高いわけでもない。
少なくともハイスペックなイケメン上司と並んで堂々としていられるほど自己評価は高くない。
いや、むしろそれが普通な気がするのだけど。
「撮影の謝礼を取らないのもそれが理由だろう?」
なるほど。
自己評価を低くしている理由の一つはそこにあるのかもしれない。
任せてもらえること、他人の役に立てること、それだけで自分の存在意義を感じられるのだから。
『こちらがお礼をしたいくらいです』
月城さんに以前言ったことは本心で、認めてもらえることの喜びを本気で感じている。
「お金よりも大切なものをいただいているんです」
「まぁ、価値観は人それぞれだから」
そう言うと月城さんは少し考えるそぶりを見せた後、呟く。
「それにしても俺との距離が一向に縮まらないんだよな」
「距離、ですか?」
聞くと月城さんは私の方を見た。
「自己評価含め、人間関係を気にしてなんだろうけど」