カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

次の瞬間、月城さんが私の肩に手を回し、グイッと抱き寄せた。
驚いて声が出ない。
それをいいことに、月城さんが女性に言う。

「彼女、ヤキモチ妬きなので。少しでも不安にさせたくないんですよ。ですのですみません」

お引取りを、とまでは言わなかったけど、含みのある言動に女性はその場から去って行った。

「私、ヤキモチ妬かないですけど」

女性の後ろ姿を見ながら言えば月城さんは肩を抱いたまま、耳元で囁く。

「いつか妬かせてみせるよ」
「なっ!?」

低く甘い声に鼓動がドクンと一際大きく跳ねた。

「耳が真っ赤だぞ」
「さ、触らないでくださいっ!」

月城さんに触れられた耳を手で覆うと月城さんは肩に回していた手を解き、さらに笑った。

「月城さんって意地悪ですね」

機嫌良く笑う月城さんの笑顔をジトっと横目で睨む。

「気になる子に意地悪したいと思う、ガキのままなんだよ」
「そうですか」

そう軽く受け流したけど、月城さんの笑顔と言葉に内心、すごくドキドキしていた。

「また明後日」

タクシーで送ってもらった去り際も月城さんは笑顔で、寝る時に目を閉じた時に瞼の裏に見えた月城さんも笑顔だった。
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