37℃のグラビティ
アタシはそのまま踵を返して、マンションとは逆の方に歩き出した。


当てもなくただ遠回りをして……


時間を潰しながら、マンションへと戻った時には……


もう二人の姿は、そこになく。


それにホッとしながらも、胸騒ぎは消えなくて……


アタシの片想いも、もう潮時なのかもしれない……とここにきてやっと、そんな風にも思えた。


マンションの前に立って見上げた屋上。


あの日以来、新海と遭遇するのが怖くて、行かなくなってしまった。


そうだ……鍵、返さなくちゃ……


だけどそれが、新海とアタシを繋ぐ、唯一のものに思えて……


躊躇うアタシもそこにいた。
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