37℃のグラビティ
どうしよう……涙が止まらない。


そう思っても、立ち上がる気力すら持てずにいた。


オートロック解除音がして、誰かがマンションに入って来た気配を感じる。


涙でぐちゃぐちゃの顔をあげる事は出来なくて、膝に顔を埋めたままでいた。


だんだん近付く足音に、更に強く膝を抱える。


「腹でも痛い?」


頭の上から降って来たその声に……


アタシはゆっくりと……


その顔をあげた。


涙で歪んだ瞳のレンズに映った新海の顔は、心なしか優しく笑っている様にさえ見える。


アタシ……夢、見てる……の?


「どう……して……?」


アタシの問い掛けに、いつもの「アーヤスマイル」より、意地悪を多くブレンドして新海が笑う。


「今日は何の日だっけ?」


「新海くんの……誕生日」


「じゃあプレゼント。何くれんの?」


言いながら、新海は手のひらを差し出した。


プレゼントなんて、用意してないよ!? どうしよう……!!
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