37℃のグラビティ
『お前にそう呼ばれんの嫌いじゃない』


そのフレーズはまるで……


アタシ自身を「嫌いじゃない」って、言われたみたいな錯覚を呼び起こす。


お願いだから、これ以上……


アタシを好きにさせないで……


そんな身勝手な感情が、心にかけた鍵を開けようとする。


だけど。


最初から鍵なんて、かかっていなかったのかもしれない……


その日。


ベッドに潜り込んだアタシは、天井を見つめながら、新海の事を考えていた。


それを「恋」かもしれないと、どこかで気付きながら、どこまでも気付かないふりをしようとするアタシ……


そんな現実から逃れるように、ゆっくり瞼を閉じた。
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