身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
エピローグ
 週明け月曜日。

 今日は驚くことがあった。オフィスに剛士さんがやってきて、前に渡しそびれたコレクトケースを届けてくれた。

 彼はやっぱり気さくな雰囲気で、私が困るようなことは言わずに少し話をするだけで去っていった。

 成さんも帰宅してきて食事も終えた私は、ふとバッグの中を見ていたら、コレクトケースをもらったのを思い出す。

 やましいことはないけれど、わざわざ話題に出すのも……とそのままバッグを閉じようとした矢先。

「それ可愛いね」
「あっ……」

 ちょうどお風呂上がりの成さんが背後に来て、たまたま見つかってしまった。

 こうなってしまえば、隠すよりもさらりと伝えたほうがいい。

「これは……今日、紀成さんがくれて」

 おずおずと話すと、一瞬空気強張る。

 判断を誤ったかも……と後悔するのも数秒、成さんの表情に柔らかさが戻った。
 私の頭にポンと優しく手を置いて言う。

「嘘だよ。物に罪はないしね。彼ももう下心はないだろうし」

 成さんの反応に胸を撫で下ろし、一緒にソファに腰を下ろす。

 ふと、彼の視線が私の手元にある気がしてきょとんとする。が、すぐに理由に気付いてあたふたと口を開いた。
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