幼馴染みは、溺愛執事!?
「…愛様。心愛様」

優雅の声が聞こえる。

薄っすらと目を開けると、自分のベッドの上。

……そして優雅の顔。

あんな夢を見た直後、しかもその前に告白されたのだから、驚きすぎてぱっちり目が覚めてしまった。

「優、雅…」

「心愛様」

「家に帰ってきたのね、今何時?」

「もう朝の8時です。あんな事があったのですから、無理しないでください。元はと言えば、私のせいですし、――」

「待って優雅。私が勝手に車降りたのが悪いのよ」

一晩越していたことに驚きつつ、突然謝り出す優雅に待ったをかける。


「お父様はなんて言ってるの?」

こういうことはお父様が決めるはず!

「勝手にしろ、あんな恥さらしな娘はいらん、と」

優雅は困った顔をしながら、そう言う。

「まぁそうよね、自慢の娘だと思っていたわたくしが、一介の執事の貴方が好きなんて、宣言しちゃったわけだし?」

さっきからの困った顔を、更に歪ませて悄気げている。

「なんか地味に傷つけるのやめてください…。だから告白しなかったんですよ?なのに心愛様があんな無茶な提案をしてくるから…」

「悪かったわね」

「ええ、悪いです、俺の気持ちに気づかないようなお嬢様は」

「はいはい。そうね、じゃあもうわたくしの専属じゃなくていいわよ。お父様もそれが1番安心なはずよ。じゃあね」
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