君色を探して
Rodney



Rodney





神のものを奪ったのだという罪悪感はなかった。
この勝ち気で意地っ張りで、ふと壊れそうになる子はただの一人の女性だ。
罪悪感を覚えるならば、果たして優しくできたのかという疑問が残ることだろう。


『ジェマ』


頬や肩に張り付いた髪を避けてやると、頬にはしっかりと涙の跡がある。


(……祈り子なんて)


一体いつから、ジェマの人生は彼女ものではなかったのか。
きっとたくさんあったであろう幸せを、受け取ることを制限してきたのだろう。


(そんなものにはさせない)


もし、祈れと言うなら。


『僕が君の幸せを祈るよ』


自分が幸せにする。
そうしたら、その祈りは実現するのだから。



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