君色を探して


・・・




それが、本当に自分の娘と結ばれるなんて。


「ふふ。複雑そうな顔」


いつかのようにジェマが笑う。


「複雑だよ。ジェイダの父親だと思えば辛いし、ロイの友人兼父親だと思うと、純粋に嬉しいし……どっちも重なって、何とも言えない」


姿を消しても、何度も何度もあの森を訪ねてくれたロイ。
彼の幸せは、もちろんとても嬉しいのだが。


「私は、もっと単純に嬉しいわ。好きなひとが側にいる幸せを、あの子が失わずに済んだんだもの」


――あのね、私もそうなの。あなたのお陰よ。


そう言ってもらえてよかった。
かたちを無くした今も、微笑みかけてくれる愛おしい存在。
腕を広げて、抱き寄せ――ぎゅっと抱いているのが彼女にも伝わるだろうか。

痛みがないのをいいことに、あの頃では考えられないほど力を込めて。
ぬくもりも柔らかさも、こうして感じることができるように。
どうか、彼女にも知ってほしい。


(僕は幸せ)


嘘でも慰めでもない。
心から、今そう思えることを。


「あっ、ほら!! 」


甘く熱い想いをぶち壊すかのように、ジェマが下を指し示した。


「ジェイダの王子様は甘々ね」


面白がって下界を覗き込んでいる。
ロドニーとしては、まるで娘の部屋にいる二人を覗き見しているみたいで落ち着かない。


「何言ってるの、ロイくんはもう旦那さまでしょう。この前だって……」

「……ジェマ。悪用して覗きもほどほどにね」


いたずらっぽく笑う彼女を、もう一度引き寄せた。
二人が気づきようもないけれど、それくらいにしてあげて。


「それに。子供たちのこともいいけど……」


――僕のことも忘れないでね。

多分真っ赤になっている妻に、そっと口づけを落とした。





【Rodney・終】












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