若女将の見初められ婚
結婚までの道のり


*◇*◇*

食事会の翌週には、「いわくら」に挨拶に行くことになった。

なんだか猛烈なスピードでいろんなことが決まっていく。結婚には勢いが必要だとよく聞くけれど、あまりの展開の早さに目が回りそうだ。

世間一般の結婚ってこんなもん?
親しい友人は、まだ誰も結婚していないので比較対象がいない。

たまたま週の半ばに、大学時代の友人たちと集まることが決まっていたので、結婚すること(予定)を告げた。

「うそー!!ありえへんっ」

友人たちは一様に驚き、大騒ぎになった。なんだか失礼な反応だったがやむを得ない。

絶対私が一番遅いと思われていたようだ。いや、私が一番そう思ってたけど。

お相手が「いわくら」の若旦那だと追加の情報を与えると、みんな絶句していた。

「いわくら」は有名なお店だし、しの君は映像関係の仕事も増えているので、雑誌で取り上げられたことがあるそうだ。

「すごくカッコよかった…」

雑誌を読んで、しの君の顔を知ってる子は、ますます混乱している。

なぜ混乱?
それは、私がカッコいい若旦那と結婚するのが不思議だということか?

憮然とするが、その反応もしょうがないかと諦める。

「うん。すごく素敵な人やで。優しくていい人やし」

私はニコニコと素直に報告した。

「こんなお子ちゃまな志乃が、極上の若旦那と結婚…」

その後はみんな口数が減り、魂が抜けたように帰宅していったが、大丈夫だっただろうか。

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