LOVEPAIN⑥
私はゆっくりと、成瀬の顔に自分の顔を近付けて行く。


私の唇が成瀬の唇に触れようとした瞬間。


成瀬の投げ捨てたスーツの上着から、
電子音が聞こえた。


私は成瀬から体を離して、そのスーツの上着を拾い上げ、
ポケットから成瀬のスマホを取り出した。


先程の音は、LINEメールだったみたいで、
画面に出ている通知のその相手は田村芽衣子となっている。


おやすみ、か何かのメッセージかもしれない。


芽衣子さんの名前を見て、冷静になれた。


なんで私はこんな事をしているのかと。


成瀬に対しては罪悪感はないけど、
芽衣子さんには、申し訳ない気持ちになった。


私はその成瀬のスマホを枕元に置くと、
スーツの上着は部屋のクローゼットにあったハンガーに掛けた。


私は荷物を纏めるとそれを持ち、
部屋を後にした。
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