LOVEPAIN⑥
『どーかしてるのは、てめぇだろ!

お前大丈夫なのか?』


「そうなんです。
知らない山の中で一人で、大丈夫ではないのかもしれません」


何故、篤は私が今窮地に陥っている事が、分かったのだろうか?


エスパーなのかな?


『山?
お前、自殺とかするつもりじゃねぇだろうな!』


「え、いや」


篤はエスパーではないのか…。


『つーか、お前、さっき俺の部屋に来ただろ?』


そう言われて、数時間前に篤の部屋に行った事を思い出した。


そして、篤の彼女みたいな人が出て来て…。


なるほど。


その人から何かを聞いて、私に電話して来たのか。


彼女に誤解されて困ってる。

迷惑だ、的な。


「篤さん、新しい彼女出来たんですね。
きっともう私は篤さんの部屋に出入りしない方がいいですね」


『おい、ちょっと待て。
お前何か勘違いしてねぇか?
アイツが彼女って』


彼女じゃないの?

あの女性は篤の彼女ではなく、ただの遊びの女性だったのだろうか?


『お前が俺の部屋で会ったのは、
俺の姉貴だ』


姉貴…。


あの女性は、篤のお姉さん?!


「そうなんですね」


なんだか勘違いしていた自分が可笑しくて、笑ってしまう。


『何笑ってんだ?
それより、お前姉貴に何したんだよ?』


「何って?」


えっ?私篤のお姉さんに何かしたっけ?


会ったのも話したのも一瞬だったし。


『俺、今も外なんだが、姉貴から俺に電話有って、不審な女が突然部屋にやって来て、
意味分かんねぇ事言って、隣の部屋に入って行ったって。
その後、お前の部屋から壁に何かをぶつけたような音がして、
男がキレてるような声がして来て、
その後、女の啜り泣きみたいな声がずっと聞こえて来てって…。
姉貴、すげービビってて』


そう言えば、私のその篤のお姉さんへの態度は、不審だったかもしれない。


そして、涼雅とけっこう派手に喧嘩したと思う。


その後は、号泣で…。
< 397 / 501 >

この作品をシェア

pagetop