LOVEPAIN⑥
「別に、私一人分作るのもそんな材料費変わらないし、
これは受け取れないですよ」


私がその5万円を篤の方へ返すと


「いいから、受け取っておけよっ!」


テーブルをバンっと叩かれ、少しビックリしてしまう。


とりあえず、告白すると決めた今日は、
篤とは喧嘩をしたくないし、怒らせたくない。


「分かりました」


私は折れて、その5万円を手で自分の方へと引き寄せた。


「お前、指輪はどうした?」


篤は、私の左手の薬指を見ている。


そこには、今日の昼迄ナツキに貰ったクロムハーツの指輪がはまっていた。


「外したんです。
ナツキに返しそびれたんですけど」



あの指輪は、ナツキの部屋の合鍵と一緒に、

私の部屋のクローゼットにしまっている。


頃合いを見て、それらは成瀬か須田にでも頼んでナツキに返して貰おうと、思っている。



篤は私の首に、篤がくれたネックレスがある事に気付いたのか、
そのネックレスを見ている。


「ネックレスも返して貰いました。

今日、ナツキと会ってちゃんと終わらせました」


「バレンタインの日にかよ。
てめぇは鬼か」


「ナツキにも、同じような事を言われました」


だけど、私との最後をクリスマスに選んだナツキも、
私と大差ないようにも思うけど。


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