LOVEPAIN⑥


「頑固。

これが俺じゃなくて、
成瀬さんが言ったら行くんじゃないの?」



「いや、そんな事…」



そんな事はないけど



私を見るナツキの目が怒っているように見えて、

言葉に詰まる




「ま、どうでもいいけど。

行く気になったら、
ちゃんとした病院紹介するから」



私が何かを言う前に、
ナツキは私から顔を逸らした



私に回していたその手も離れて行く




こんな時に、私は何も言えない




もし、成瀬なんかよりもナツキの方が好きならば、
必死に否定したり、

ナツキのご機嫌をとるのだけど……



中途半端に期待させるような事は、

口にしたらいけないような気がして




本当にナツキの事は、
誰よりも一番大切なんだけどな



その感情は、
恋人と友達の中間みたいな感覚で



血の繋がらない、

家族みたいな感覚なのかもしれない






< 56 / 501 >

この作品をシェア

pagetop