Re:START! ~君のバンドに、入ります~
「奏くんこそ、何かあった? ちょっと元気がないみたい」


 私が尋ねると、奏多は途端にしょんぼりとした顔になった。


「ようちえんでたっくんとけんかしちゃったんだ……。あした、なかよくできるかな」


 たっくんは、奏多の話の中でよく出てくる、幼稚園で一番仲がいいらしい男の子だったはず。

 仲直りができていないのなら、それは心配だろうな。


「奏くんがたっくんに悪いことしたの?」

「うーん……。ぼくがつかってたおもちゃを『かして』ってたっくんにいわれてね。まだつかったばっかりだったから『あとでね』っていったら、ぼくむちゅうになってかすのわすれてて……。そしたらたっくんがおこっちゃって、むりやりおもちゃをとられて。『いきなりとることないじゃん!』っていったら、けんかになったんだ」

「なるほどねえ……」


 話の内容からすると、一方的に奏多が悪いというわけではないように思えた。

 ――でも。


「きっと大丈夫だよ。明日、謝ってみたらまた仲良くしてくれると思うよ」


 小さい男の子はけんかを長く引きずらない子が多いと思う。

 たっくんももうそんなに気にしてないんじゃないかな。
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