Re:START! ~君のバンドに、入ります~
 そんな彼女の肩を、響斗くんがポンポンと優しく叩いた。

 だけど、彼女は無反応だ。


「じゃ、行こうか詩乃ちゃん」

「うん……」


 姫奈ちゃんの事が気になったけれど、教室を出ようとする響斗くんにそう言われて、私は彼の後に続く。

 すると、そんな私に向かって、沙菜ちんがこう言った。


「な、なんか怒涛の展開でよくわかんないけどさ。バンドってすごいね! 明日詳しく教えてね」


 沙菜ちんの笑顔の言葉に、少しほっとする。

 好きな人に怒鳴られてショックを受けている姫奈ちゃんのことは、少し心配だけど……。

 でも私、何も悪いことしてないよね。

 うん、堂々としよう。


「うん! 今まで内緒にしててごめんね。明日ちゃんと話すから!」


 私は沙菜ちんに向かって明るい声でそう言うと、響斗くんの後に続いたのだった。

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