Re:START! ~君のバンドに、入ります~
 全員で一回合わせた後、テンション高い声で律くんが言った。


「えへへ。そうかな……?」


 照れ笑いを浮かべて私は言う。

 だけど実際、私もそれを実感していた。

 クラスの人たちに、私がバンドをやっていることがバレた日以来、変な力が抜けたような気分になった。

 律くんと響斗くんの前で歌っても、ヒトカラの時と同じように、思い切った歌い方ができるようになったんだ。


「うんうん。最初にカラオケで聞いたときみたいに、上手に歌えていると思うよ」


 響斗くんも、嬉しそうな顔をしてそう言ってくれた。

 ――それはたぶん、ふたりのおかげなんだよ。

 姫奈ちゃんに責められたときに、ふたりが全力でかばってくれたから。

 私のことを仲間だって、主張してくれたから。

 そのことがあってきっと私の心は、こう思ったんだと思う。

 ――このふたりは、心から信じられるんだって。

 もちろん今までだって、優しいふたりのことは信頼していた。

 でもやっぱり、過去のトラウマが邪魔をして、どこかで歌うのが怖いと思ってたんだ。

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