俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


あ、いつもの朝陽くんだ。


「美月良いの? 口塞いで」


「うーん、まだダメ」


「" まだ " って何、その言い方。俺、期待しちゃうんだけど。それじゃあキスがダメなら美月、もう1回俺の名前呼んで?」


「……朝陽くん」


「もう1回」


「朝陽くん」


「いい子。よくできました」


優しく向けられた笑みに、鼓動がドクンと跳ねる。


「あ〜俺の名前を呼ぶ美月、やばい。好き。
俺の名前、もっと呼んで欲しくなる。なぁ、呼んで?」


おねだりする朝陽くん、可愛いなぁ。


「朝陽くん、可愛い」


「かっこいい、の間違いだろ? なぁ、美月。ギュッてして良い?」


「それは、ダメ」


「なんでだよ〜ケチだな、お前」


「ふふ」


「ケチな美月も、好きだよ」


「何それ」


……どうしよう。なんだかとっても、朝陽くんが愛おしいと思ってしまう。


朝陽くんと話してると、楽しい。


この気持ちは……なんだろう。


好き……なのかな? まだ分からない。


だけど、いつか彼の想いに応えられる日が来ると良いなと、このとき初めて思った。


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