俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


そして、あっという間に1週間が過ぎ……。


サッカー部の定休日の放課後。


「みーつき!」


俺はカバンを持って、新川さんと一緒に帰ろうとしている美月に声をかけた。


「美月、急で悪いんだけど。このあと時間ある? ちょっと俺に付き合って欲しいんだけど」


そう言って、俺はカバンの中から単行本を3冊取り出す。


「図書館にこの本を返すついでに、別の本も借りたいから、一緒に来てくれねぇ?」


2週間ほど前に俺は、読書をしようと市立図書館で本を借りた。


「朝陽くん、確か漫画しか読まないって言ってたのに、ついに小説を読むようになったの?」


う。ストレートに聞いてくる奴。


「この前、前島から本を借りただろ?
読んだら意外と面白くて。それで読書に目覚めたっていうか。最近ハマったんだよな」


最初は、美月に気がある前島に対抗するために本を借りて読み始めたけど……。


読んだら本当に面白くて、気づいたら夢中になってて。本のページを捲る手が止まらなくなっていた。


それで、他にも色々と読んでみたいと思うようになった。


今まで本といえば、漫画しか読まなかった、活字嫌いのこの俺が。自分でもびっくりだ。


まぁ一番は、美月が好きな読書を、俺も好きになりたいと思ったのがきっかけとして、かなり大きいけど。


< 169 / 341 >

この作品をシェア

pagetop