俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


俺が、美月から身を引けだって……?

突然なにを言うんだ? こいつ。


「僕、自分の好きな子があんな思いを二度として欲しくないんだよね。今まで美月ちゃん、女子たちに嫌なこと言われたりしていたみたいだし。
学校の王子だとか呼ばれている君が、美月ちゃんにやたらと構うから」


前島がメガネを指で押し上げ、俺のことをキツく睨みつける。


「それに、美月ちゃんも君に何度も言い寄られて、迷惑なんじゃないかな?
一之瀬が美月ちゃんを好きでも、美月ちゃんが君を好きだとは限らないんだし?」


そりゃ、美月からは『好き』とも『嫌い』とも言われていないけど。

俺の美月への恋の答え合わせは、未だにできていない。



──俺は、美月への恋が諦めきれなくて。

最初に告白したとき美月に『罰ゲーム』って言われて、信じてもらえなくて。

それは、美月の過去のトラウマが関係していたと後で分かったけれども。


彼女を振り向かせようと、俺が美月に本気だって分かってもらいたい一心で、今まで頻繁に美月に話しかけたりアプローチしてきたけど。


美月がそれを迷惑と思うかどうかって、考えたことがなかった。

俺は、自分のことしか考えていなかったのかもしれない。


俺は、唇を噛み締める。


< 212 / 341 >

この作品をシェア

pagetop