俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「……なぁ、林くん? 数学の問題が分からないのなら、俺が教えてあげようか?」
耳元で、低い声がした。
「俺、数学はけっこう得意なんだけど?」
「え? 一之瀬くんが、俺に?」
「あと、人の彼女に気安く声かけないでもらえるかな?」
朝陽くんは笑顔なのに、目が笑ってない。
いつもよりかなり声が低いし、これは絶対怒ってる……。
「しかも、俺の可愛いみつを困らせるなんて、悪い男だなぁ」
朝陽くん。私が困ってたの、気づいてくれたの?
「人の彼女? 俺の可愛いみつ??」
訳が分からないといった様子の林くん。
「あれ? 林くんもしかして、知らないの? だったら数学だけでなく、そっちも教えてやらないとな」
朝陽くんの口角が、微かに上がったのを私は見逃さなかった。
朝陽くん、何をする気!?