ツキミチカフェにようこそ
 大学に入って、いくつかのバイトを経験した。今度のバイトも今までと同じく接客で、だけど今までと違うのは居酒屋でもなく、ラーメン屋でもないこと。ツキミチカフェ、と言う名前のオシャレそうなカフェだ。
 カフェでバイトするかも、と言ったら杏は大喜びで、毎日寄るね、と言ってくれたけれども。

 さっきの喧嘩を思い出すと思わずため息が出てしまう。どっちが悪いか、なんて言えない。売り言葉に買い言葉だった。けど、どうして彼女に対する独占欲はおさまってくれないんだろう。

 杏は誰に対しても分け隔てなく接する。ゼミやサークルの連中に、杏に惚れてる奴がいるのだって知ってるけど、ボクと付き合ってることを公言してるからか、誰も杏に積極的にアプローチしたりはしない。
 少し姉御肌の割には涙もろい彼女に一目惚れして、ボクから告白して付き合い始めた。
< 2 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop