きっと100年先も残る恋
手元のカフェラテがもう底をついている。
正直、彼が登場しなかったらさっさと店を出てたところだ。

「見なくていいよ、恥ずかしいから」

そう言われると余計見たくなる。

私は底ついてるカフェラテを飲むフリをした。

全然一雫も落ちてこない。

「っていうか、もう帰ろうとしてた?」

そんな私を見て言ってきた。
顔が笑ってる。

恥ずかしいけど、「ああ、カフェラテなくなっちゃって」と白状する。

「ごめん、なんか引き止めた感じになって」

いえ、全然。
私のカフェラテがないことがバレて、なんとなく帰らないと気まずい雰囲気になってしまった。

私は帰る支度を始める。

「あの」

そう呼ばれて彼の方を見る。

「もう一回、会えたりする?」

余裕を感じる表情。
たぶんこの人は、こう誘って断られたことがないのかもしれない。

言い慣れてないと、こんなにサラリとは出てこないと思う。

胸に刺さる。
恋のキューピッドとか弓矢とか、うまく例えたな。

ギュッと刺さって、食い込んで、胸がキュッとキツくなる感じ。

「はい」

そう答えると、私たちは連絡先を教え合った。

夕方に届いた「さっきはありがとー!今度飯でも!」というシンプルな文面。

「ぜひ!」と答えると、すぐに「いつ暇?」と来た。

私たちは約束を取り付けて、すぐ会うことになった。
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