きっと100年先も残る恋
「あ、そうだ」

ふと私は小さなことを思い出す。

「今日、雄介パパのドラマ、第一話だ」

高松大介脚本の恋愛ドラマが今シーズン放映されることも、世間ではプチニュースになっていた。

雄介が力抜けたように笑う。

「いいよ、別に父ちゃんのドラマなんて」

そう言いながらも、私たちは22時からのドラマに間に合うように部屋に戻った。

そしてそのドラマは、恋人に結婚目前で捨てられた主人公の女が、ネックレスを引きちぎって川に投げ捨てる場面で終わった。

雄介がその場面の後、私を見る。

「絶対にしないでね、こんなこと」

私は「じゃあ、私のこと捨てないでね」と答えた。

この日から、私と雄介の首元にお揃いのシンプルなネックレスが揺れることになる。
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