きっと100年先も残る恋
美術館を回って、公園に行く。
公園には平日だからか誰もいない。

久しぶりに空気を吸い込む。

毎日外に出てたけど、今日は全然違う空気だ。

これから私たちは毎日こういう空気を吸うんだ。
伸びをすると、雄介と笑う。

「待たせたなあ」

冗談っぽくカッコつけて言ってきた。

「待ちくたびれたよ」

私の返答に、雄介がハハッと空に向かって笑った。

「父ちゃんが、『俳優やらないのか』って」
「なんて答えたの」
「俺下手くそだよって。父ちゃんも脚本家だから、俺もそっち向きなのかもって言ったら『そうか』って納得してた」

自動販売機で買ったホットドリンクを手に話す。

「モデルのオーディションの時、背中押してもらったのに、しょぼい結果に終わったな」

ポンポンと雄介の手のひらに転がされるペットボトル。

「でも、モデルになってなきゃ今の編集の仕事にも関わってないでしょ」

私の言葉に、軽く頷いて「だね」と答える。

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