蒼春
廊下を歩いていると、見たことのない先生に話しかけられた。

「君が一年の鈴木乃蒼さん?」

『はい、そうです。』

「君、ピアス開けたそうだね?」

『はい…』

「それって開ける必要あったのかな?」

『…校則に書かれてないし良くないですか?』

「そういうことじゃなくてねー」

いきなりピアスについて注意してきた。すごくしつこい…。

「とにかく、君はピアスをしているので後で職員室に来るように。」

『気が向いたら…』

そう言ってその場から逃げる。

…何なんだ、あの先生は。急にピアスについて話し出すなんて変な人だ。


翌週の月曜日、私はまた例の先輩に呼ばれ、今度は屋上に来た。

『先輩、何の用ですか?』

『あんたさ、』

『はい。』

『人の彼氏とって楽しい?』

『え…?』

『…今日のは忠告だから。これ以上酷くなるんだったら、ね?』

そう言われ、肩をポンと叩かれる。そして先輩は行ってしまった。

”人の彼氏“って何?

それがずっと心に引っかかってたが、考えてもはっきりとした答えは出なかった。


…もしかして一ノ瀬先輩のことを言ってたのかな?

そうだとしたら、いろいろとおかしい。

まず先輩は私と付き合っているので、他の人に彼氏と呼ばれる訳が無い。

しかも先輩が浮気なんてする訳ない…。

でも、少し先輩のことを疑ってしまう自分がいた。
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