蒼春
「乃蒼ちゃん、お疲れ様。じゃあ俺、いつも通りコンビニ行ってくるわ。」

そう言ってお財布を取り出す先輩を引き止める。

『あ、あの先輩…!』

「ん?乃蒼ちゃんもいく?」

『そうじゃなくて…。』

「うん?」

先輩が不思議そうな顔をしている。

『せ、先輩の分も作ってきたので、よかったら食べてください!』

先輩がフリーズしている。

実は、昨日蓮からいつもコンビニ行ってるって聞いたので、せっかくならと一緒に作ってきたのだ。

「こいつの弁当、本当に美味しいから心配すんなよ?」

「え、ほんとにいいの?」

先輩がそう言うので、私は頷いた。

「ありがとう、まじで嬉しい。」

『はい!じゃあ、私は徳島先輩のとこ行ってきます。』

先輩と合流して、少し仕事をこなしてからお昼を食べる。


午後の試合も順調に勝って、次の大会へ進めることができた。

「今日の反省を生かして、また練習に生かすように!今日はよく頑張った。お疲れ様!」

「「「お疲れ様でした!!」」」


みんなそれぞれ家に帰っていく。私は蓮と一ノ瀬先輩、徳島先輩と電車に乗った。

私は初めての試合でとても疲れたらしく、いつのまにか寝てしまっていた。

「…ちゃん、乃蒼ちゃん。起きて。次の駅だよ。」

『ん?…あれ、寝てた?』

「うん、ぐっすりだったよ。いっぱい仕事して疲れたよね」

一ノ瀬先輩が激励してくれる。

「あと、お弁当ありがと。おいしかったよ。」

< 73 / 129 >

この作品をシェア

pagetop