俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
「なんでしょうか、社長」

わずかに顔を傾けた彼女の腕をすかさず掴み、一瞬鼻をかぐ。

「……やっぱり、俺と同じ香水。ここまで香りが残るってことは、お前の彼氏は相当派手だろ」

感じたままそう告げると、結城の肩が僅かに強張る。

(やっぱり図星か)

腕から手を外した俺は、より一層彼女の動揺を煽るように黒縁眼鏡を指先で掬い取った。

「……え?」
「俺は今日のメイクの方が好きだな、結城。わざわざ地味にする必要はない」

しっかりと視線を絡ませると、結城は反射的に顔を背ける。
触れていなくても近い距離にある彼女の顔から、かなり熱い体温が伝わってきた。

(へぇ、恋愛経験はかなり少なそうだな……からかいがいある)

見たことのない彼女の一面を暴くことができ、心持ち気分がよくなってくる。
微笑んで結城を眺めていると、はぁ、と背後からため息が聞こえてきた。

『公開セクハラはよしなよ、快』
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