俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
第二章:結城家具の娘
(これは……一体どういうこと?)

ただいま、朝の十一時過ぎ……記者会見がスタートして三分が経った。

壇上の中央に藤堂社長、隣にルイさん、そしてその隣が華さんが笑顔で立っている。

スポットライトとカメラのフラッシュが壇上に集中し、
私の視線の先は目を眩むくらい眩しかった……はずなのだけど、一瞬で目の前が真っ暗になった。

藤堂社長が話し始めた内容が、私が渡した資料と全く異なるからだ。

(えっ、さっき渡した内容じゃダメだった?)

朝一度しっかり顔を合わせ、今回の記者会見の資料を渡した。
その後、互いに別行動をしていたので確認は出来ていなかったのだけど、何か問題が起きたのだろうか?

「と、とりあえず落ち着こう」

関係者席から固唾を飲み、ジーッと社長の姿を見つめる。
彼はいつも通り落ち着き払った様子で、今回のプロジェクトの意気込みを語っている。

「うちのブランドのファンでいてくれる皆様の、願望をすべて詰め込んだ客室をご用意する予定です。東京にいながらパリの空気感を肌で感じて頂けると思いますので、お楽しみに」
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