隣の席の一条くん。
「…うわ、ほんとだ。これ、借りるよ」

「うんっ」


一条くんはわたしの国語の教科書を手に取ると、ゆっくりと立ち上がった。


席替えをしてから、国語の時間だけこうして席をくっつけて、教科書の貸し借りをしている。


「…一条くん。あなた、いつも教科書持ってないみたいだけど、どうしたの?」

「友達にパクられてます」

「それなら、その友達に早く返してもらいなさい」
< 49 / 316 >

この作品をシェア

pagetop