求められて、満たされた

その違和感は見事的中し、奈生ちゃんは過去に事情を抱えていた。

俺がその相談に乗れたのは嬉しかったし、俺に助けを求めてくれたことも嬉しかった。

その日以来、奈生ちゃんは少しずつ明るさを取り戻したのか笑顔に違和感がなくなっていった。

もうすぐ、奈生ちゃんと知り合って2ヶ月が経つ。

12月に突入した。

季節はもう冬だ。

関東とはいえど、それなりに寒いと思う。

「ユウ、何ボーッとしてんの?」

同じ学年で同じ学科の坂田茉由(サカタマユ)が教科書を俺の頭にボンッと置く。

坂田は中学の頃からずっと一緒で腐れ縁みたいなものだと思う。

男女の友情は成立しないって言われるけれど、俺は坂田の事大切な友人だと思ってる。

「最近のユウなんか変だよ。」

「別に。ちょっと考え事。」

「ふーん。考え事ねぇ。」

「何だよ。」

「ユウ、もしかして彼女出来た?」

いきなりそんなことを聞かれて俺はむせる。

そんな俺の背中をさすりながら坂田は目を細める。

「何その反応。怪しすぎるんですけど。」

「居ねぇよ。彼女は。唐突すぎてビックリしただけだし。」

「ふーん。」

どこか腑に落ちない様子の坂田。

一体なんだと言うんだ。
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