求められて、満たされた

声だけでも聞きたかった。

私はイヤホンで耳を塞ぐ。

そして、音量を最大にして音楽をかける。

爆音で流れる音楽は騒音にも近かったけれど、何でもいいから音が欲しかった。

無の状態が怖かった。

きっと、朝になれば俊介の方から連絡をくれるだろうからそれまで耐えよう。

そうやってずっと爆音で音楽を聴いて待った。



『奈生ーおはよー。』

予想通り朝になると俊介から連絡が来た。

それを読んですぐに私は躊躇いもなく俊介に通話をかけた。

俊介はワンコールで電話に出てくれた。

「どした?」

「俊介…会いたい…」

「なんかあった?家だよね?すぐ行くから。電話繋いだままの方いい?」

「うん。切らないで。」

俊介の声を聞くと凄く安心した。

そして変わらずにすぐに来てくれる所に癒された。

俊介は運転中はイヤホンが出来ないためスピーカーモードにしてたからか声は遠かったけれど、明るいトーンで色々話してくれていた。

無言にならないように話を繋げてくれた。

言ってくれたように俊介はすぐに私の元に来てくれた。

「俊介、部屋着のまま?」
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