1分で読める初恋短編集
8:何もない毎日にふいの終わりを
 今日も何もなかった。
 昨日だって、その前だって何もなかった。
 私はセーラー服に袖を通して、学校に行って勉強して、友達とおしゃべりをして。
 明日があることに疑いなんてない毎日。

 波のない毎日なのに、彼が視界に入るだけで幸せになる。
 目が合えば寝る前にそれを思い出して嬉しくなるぐらいに幸せで。
 少しだけ話せればもっと幸せで。
 幸福という繭(まゆ)に包まれて、私は少しずつ大人になっている。
 温かくて、夢を見るには最適な中で。
 いつか蝶になる日を夢見ながら、この中で私は溺れる。
 手を伸ばせば触れられるかもしれない幸せを恐れながら。
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