家出少女は不器用王子と恋をする。
私のせいだ。


私がもっと早く気持ちを消していれば。


仁坂が近づいたとき拒否していれば。


中途半端な私がこんなことを引き起こしてしまった。



『あんたが母親の幸せを奪った』



おばさんの言葉が私の胸に突き刺さった。


未だに思い出すだけで私を苦しめる。


そう簡単に消えてくれない。


少しの時間仁坂と暮らしたぐらいで消えるほど、私が受けた心の傷は浅くない。


自分が思っているよりもずっと深く深く心の奥底に根付いていた。


それが今では私の呪縛となっている。




私がまた、誰かの幸せを奪うことになるのかな・・・──────?



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