コインの約束
「電車が来るまで座ろっか」
「はい」
私たちは並んでベンチに座った。
「あの、遅刻確定ですね。ごめんなさい」
「だって、放っておけないでしょ」
「どうしてそんなに優しくしてくれるんですか?」
「んー、別に。俺、優しくなんてないよ」
「そんなことない。こうして一緒にいてくれてるし。飲み物だって買ってきてくれて」
「一緒にいたいと思っただけ。それに・・・。いや、何でもない」
この人、何か言いかけたけど、話をやめてしまった。
「あの、お名前と学年を教えてもらってもいいですか?」
「そっか。そうだよな。知らないよな、俺のこと」
え?有名人だった?生徒会長とか?知らないよな、って何?
「ごめんなさい、存じ上げません」
「俺はさ、お前のこと知ってるのに。なんかムカつく」
はい?優しいキャラから急変してない?