コインの約束

和真と別れて教室に入ると、先に来ていた由真と夏樹に挨拶をして合流した。

私の後から湊も教室に入ってきて。

いつもなら湊も合流するのに、今日は自分の机に座るなり突っ伏した。

「湊?どしたの?具合悪いの?」

私が湊の所まで行って、声を掛ける。

「んー。何でもない。ちょっとほっといて」

私の顔も見ずに鬱陶しそうにそう言った。

「なによ、湊。心配してるのに」

すると湊は顔だけ私の方に向けて、

「なぁ、芽衣。アイツってさ、芽衣の何?」

「アイツ?アイツって誰の事?」

「お前を助けてくれたヤツだよ。さっき仲良く登校してたヤツ」

「あぁ、和真?和真は・・・なんだろう?友達?なのかな」

「和真、って呼んでんのか?」

「そうだね、そう呼んで欲しいって言ってたから」

それを聞いた湊が急に席を立ちあがり、廊下へ出て行った。

この様子を見ていた夏樹が急いで湊の所へ駆けて行く。

「湊、ちょっと待てよ。分かるけどさ、5組へ行ってどうするんだよ」

そう言って夏樹が湊を引き留めた。

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