コインの約束

送ってくれるのは駅までで大丈夫だよ、って言ってるのに、言うことを聞いてくれない、和真。

結局うちの前まで送ってくれて。

「ここが芽衣の家なのか。うん、覚えた。何かあったらいつでも来るから」

「何もなかったら、来ないの?」

「えっ?・・・。芽衣、誘ってんの?」

「ち、違うよ。そういう意味じゃなくてさ。いつでも会いたいって思うじゃん」

「芽衣!素直だな。やっと俺のこと気にしてくれたの?」

「うん、和真のこと気になってるよ?」

「じゃ、もう俺から離れるなよ」

そう言って和真はフワッと私を抱き寄せて、

「もう、どこにも行くな」

和真は切なそうにそう呟いた。


< 42 / 166 >

この作品をシェア

pagetop