コインの約束

練習が終わり、私と和真は並んで歩き駅に向かう。

私は和真に大学のことを聞いてみた。

「和真はさ、オープンキャンパス行った?」

「あー、俺はもう行きたい大学決めてるから、行ってないよ」

「そうなの?どこに行くの?」

「うん、親父も兄貴も行った大学なんだけどさ、そこの医学部」

「初めて聞いたかも。和真もお医者さんになるんだね」

「大学に受かったらな。まだ分からないだろ」

「和真なら大丈夫だよ。良いお医者さんになれるよ」

「そっか?ありがとう」

和真もしっかり将来の事を決めてるんだね。私だけが中途半端。

「俺さ、心臓外科医になりたいんだよ。すっげ―難しいのは分かってるんだけど」

「心臓外科医かぁ。私が沢山お世話になったところだね」

「うん。俺さ、小さい時に芽衣と出会っただろ。その時の芽衣の病気が心臓の病気って聞いててさ。大きくなったら俺が芽衣の病気を治すんだって。その時から目標はずっと心臓外科医なんだ」

「えっ?そんな小さな頃からの目標をブレることなく叶えようとしているの?和真って、凄いんだね。尊敬する」

「俺、芽衣の為なら何にでもなれる気がするんだよ」

うわ、顔が熱くなる。和真っていつも平気でそんなことをサラっと言う。

「あれ?芽衣、顔赤いよ?なに、照れてんの?」

意地悪く和真が私の顔を覗いてくる。

「もう、ワザとなの?どうしてそんなカッコいいことをサラっと言えちゃうの。そんなの照れるに決まってる」

「あははっ。芽衣、可愛い」

私は和真から顔を背けた。本当に、この人は!

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