丸重城の人々~後編~
大翔の足の間に座った。
後ろから包み込まれる柚希。

中也「俺、部屋戻る」
大翔「おぅ、行け行け!」
柚希「え?中也くん?
………どうしたんだろ?
また、傷つけちゃった……」
柚希が大翔に向き直り抱きついた。

大翔「柚?」
柚希「私、どうすればいいんだろう。
中也くんを傷つけてばかり……」
大翔「いつも通りでいいんだよ?中也もそれを望んでるんだから。言ってただろ?俺のものにならなくても、傍にいたいって」

柚希「そうだけど……」

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コンコン━━━
中也「誰ー?」
大翔「お兄ちゃん」
中也「あ?なんだよ!?」
ドアを開け、少しだけ顔を出す。

大翔「久しぶりに兄弟で飲もうぜ、弟」
ビールを片手にプラプラさせて大翔が言った。
中也「は?そんな気分じゃねぇよ!
それに、柚希は?」
大翔「広ばぁの手伝い。追い出された。だから、お兄ちゃんに付き合ってよ!弟」
中也「……わかった…」

しかたなく、大翔を中に入れたのだった。

大翔「お前、結構綺麗にしてるよな?部屋」
部屋を見渡して、ソファにドカッと座った大翔。
中也はフローリングの上にクッションを持ってきて座った。
中也「そう?だって毎日柚希が掃除してくれるから、綺麗にしておきたいじゃん!」
大翔「………お前、凄いな」
中也「は?」
大翔「もし、逆だったら……」
中也「何が?」
大翔「柚が俺じゃなくて、お前を選んでたら……俺はお前のように穏やかでいられないと思うから。
たぶん、とっくに連れ去ってるだろうなって思うんだ」

中也「は?別に穏やかでもねぇよ!
なんか、最近抑えられないし……」
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